オリジナルプリント

アーカイバルプロセス(長期保存)

1970年ころから写真のプリントが他の美術作品と同様、ギャラリーで売買することが一般的となり、美術館への収蔵もさかんとなりました。

現在は写真を専門に扱う美術館も開館し、美術品としての写真作品の評価も高まってきています。対象となる写真のプリントは”オリジナルプリント”と呼ばれ、作家自身、または信頼できるプリントマンが高度なテクニックでプリントを制作、”これが私のオリジナルプリント”と納得できる作品にサインを付すことを原則としています。

オリジナルプリントを前提とするプリントは当然”ファインプリント”と呼べるレベルのプリントクォリティが要求され、オリジナルプリントとして美術館などに収蔵された後も、その評価を持続し得る堅牢性(長期保存)を備えたプリントでなければなりません。長期保存を目的とした写真の処理および仕上げを”アーカイバル処理”(Archival Process)と呼びます。

1839年8月19日のダゲレオタイプという銀板写真の発明が写真の最初とすれば、写真が誕生して170年くらいです。
撮影機材の多くはデジタル化されましたが、未だ多くの諸先輩(写真家)の皆様の努力は続いており、すばらしい作品を作られております。

プリントのマウンティング

現像印画紙が商品化されたのは1893年に米国ネプラ社(後にイーストマン・コダック社に買収)でガスライト紙(塩化銀ゼラチン印画紙)が発表されコダック社から市販されました。

バライタ紙やRCタイプの印画紙などの印画紙を使用するかを写真プロセスと呼びますが、あくまでも長期保存を主とした場合、印画紙の選定は重要な要素になります。
デジタルプリントに関してはゼラチン面がありませんので中性のラグペーパーを使用します。作品に影響の大きい紙質(テクスチャー)の選択肢は広がっています。

プルーフプリント:コンタクトプリントなどの試し焼き
テストプリント:印画紙の号数や段階露光によって、適正露光時間などを割り出すためのもの
ワークプリント:テストプリントのデータに基づいて、覆い焼きや焼き込みなどをしながら仕上げたプリント
ファインプリント:さまざまなワークプリントのなかから最もできの良いものを選び出し、調色(toning)などのアーカイバル処理を施して、最終的に作品として仕上げたもの

プリントの展示と保管

プリントの保存は制作者と管理者(コレクター、ディーラー、キュレイターなど)の立場によって目的が違い、それぞれの役割に応じた方法で取り組まなければなりません。

ステップ1・仮整理(プリント自体は十分に乾燥した状態でポリバック等に入れる)
ステップ2・ブックマッティング(窓抜きされた中性紙にプリントをペーパーコーナーで固定する)
ステップ3・ストレッジ(中性紙の箱にデータ等を裏面に記入し合い紙や封筒におさめ分類する)

ライティングとディスプレイ
写真の保存を考えるうえで最も注意しなければならないことは展示の問題です。プリントは安定した条件下で上記のステップで仕上げられた作品を暗所にしまっておけば退色や劣化の心配はほとんどありません。しかし写真は見せることと見ることこそが第一の目的ですから、ある程度の光に当てて展示することが必要です。



写真美術館などでは通常16インチ×20インチのアルミフレームを採用しています。展示は床から額装された写真の中心まで155cmから165cmで天井からクールビームなどで800ルクス程度の照度で鑑賞します。アンセルアダムスは暗部の階調をより強調するため300ルクスに合わせてプリントを制作していたと言われています。

写真工業出版社 ファインプリントテクニックより引用
写真 新谷光

vison90

2009年6月7日は面白い天気になりました。太陽のまわりをぐるりと虹の傘がかぶっていたのです。気象現象としては日暈(ひがさ、にちうん)と呼ぶようです。14時2分に撮影し15時ころには傘が大きくなりわからなくなりました。前後で20枚くらい撮影しています。じっくりカメラをかまえることなく瞬発力のいる撮影ですが、こういう撮影も楽しいものです。

使用した機材はコダックのV570という小さなカメラです。最近は携帯電話で撮影させる方が多く、少々げんなりとした機会が多いですがチャンスを逃さないという意味では携帯電話もありですか・・・・